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高森明勅
2013.7.23 22:46

研ぎ澄まされた誠実さゆえに

私が知る国分隆紀兄は、溢れる才能と、真っ直ぐな心根と、
精悍な容姿と、健康な身体と、日本男児としてのたしなみを、
全て一身に兼ね備えていた。

少し出来すぎた話のようだが、事実だ。

私は、人を羨んだことはない。

だが兄にだけは、それに近い感情が動かなかったと言えば、
嘘になるかも知れない。

兄と会い、別れた後は、いつも清涼な一陣の風に吹かれたように、
爽やかだった。

そんな兄が、不遇な酒びたりの日々の末に、
ほとんど窮死のような死を迎えようなどと、
どうして想像出来ただろう。


思うに兄は、自他に対し、あまりにも誠実過ぎたのではないか。

その過剰な迄に研ぎ澄まされた誠実さが、
兄を世俗的な成功や幸福から、遥かに隔たった場所にまで、
運び去ったのではあるまいか。

そのようにでも考えないと、とても納得出来ない。

それにしても、兄の死は早すぎた。
高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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